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全米の一部の州で認められている、レストランでのフードスタンプの使用が議論の的に


記事:ジョナサン メイズ



フードスタンプとは、低所得者を対象に支給される食料購入のための補助金で、政府の生活扶助プログラムの一つだ。正式名称は、Supplemental Nutrition Assistance Program(SNAP、補足的栄養補助プログラム)。以前は、青や緑などのカラフルな金券の形で支給されていたが、1990年代後半に見直しが行われ、EBT(Electronic Benefits Transfer)と呼ばれる電子決済方法が導入された。これにより受給者は、EBTカードを使って、デビットカードやクレジットカードと同様に支払いが行えるようになり、買い物の際にそれほど人目を気にする必要もなくなった。

米国では、長引く不況で、フードスタンプの受給者の数が増え続けている。その数は2007〜2010年の3年間で53パーセント増加し、この期間に1400万人が新たにプログラムに加わった。2011年5月現在、アメリカ人の7人に1人に当たる、約4600万人がフードスタンプの恩恵を受けている。これは、同プログラムの70年の歴史の中で、最も高い割合だ。特に、ネバダ州、アイダホ州、フロリダ州、ユタ州で、利用者が倍増しているという。

フードスタンプで購入できるのは通常、未調理の食料品に限定され、フードスタンプでの支払いを受け付けることができるのも、対象となる食料品を取り扱うスーパーなどに限られていた。70年代には、特別条項が設けられ、ホームレス、障害者、高齢者に限り、一部のレストランで調理済み食品を購入することが可能になった。

しかし、レストランでのフードスタンプの使用を許可する州はごく少数で、これまで、ミシガン州、カリフォルニア州、フロリダ州、アリゾナ州の4州に限られていた。それがごく最近になって、この例外的なフードスタンプの使用が注目されるようになった。そのきっかけを作ったのが、ケンタッキーフライドチキンやTaco Bell、ピザハットの経営で知られるYum! Brands。同社が、本社の所在するケンタッキー州で、レストランでのフードスタンプの使用を認めるよう働きかけたことで、にわかに注目が集まった。

フードスタンプのレストランでの使用を認めることについては、賛否両論がある。賛成派は、受給者の多くが、調理手段を持たなかったり調理することが困難である点を挙げ、レストランで使えるようになれば、温かい食事を購入できると主張する。一方、反対派は、ファーストフードレストランでの食事が増えることになり、米国に蔓延する肥満の問題に拍車がかかる可能性があるとし、貧困層の人々の栄養面を懸念する。実際に、フードスタンプの2010年の平均支給額は毎月約134ドルで、これは一食あたり2ドルにも満たず、ファーストフード以外のレストランで食事をするのに十分な額ではない。

フードスタンプの使用が議論の的になること自体が、現在の不景気を反映しているといえる。米国の失業率は9パーセントに高止まりしたままで、改善の兆しは一向にみられない。実際の失業率は、就職活動をあきらめた人や、フルタイムの職がなく、パートタイム就労を 余儀なくされている人を含めると、17パーセントにまで跳ね上がるともいわれる。そして、この不況による大きな打撃を受けているのが、低所得層を対象とする、ファーストフードのレストランチェーンなのである。

前述のYum Brandsの場合、ケンタッキーフライドチキンとTaco Bellがこれに相当する。特にケンタッキーフライドチキンは、不況により売上が低迷し、業績不振にあえいでいる。このようなレストランチェーンは、生き残りをかけ、不況で遠のいた客足をなんとか取り戻そうと必死になっている。その起死回生の手段の一つが、フードスタンプの使用範囲の拡大というわけだ。

フードスタンプでの支払いを受け付けることで、これらのレストランが息を吹き返すことができるかどうか。この不景気が続く限り、フードスタンプをめぐる議論は今後も続きそうだ。